注文住宅を建てるには何坪の土地が必要か調べよう

注文住宅を建てるには何坪の土地が必要か調べよう

注文住宅の最大の魅力は、自分が思い描いた通りのマイマームづくりを実現することができるという点です。建売住宅とは違い部屋の間取りはもちろん、キッチンやバス、トレイなどの設備も好きなように決めることができます。

そして注文住宅に欠かすことができないのが、土地との相性です。いくら素敵なマイホームを思い描いても、土地との相性が悪ければ希望通りのマイホームを建てることはできません。

土地と建物には、さまざまな規制があり、それらの規制を遵守しながら理想のマイホームを建てなければななりません。

理想のマイホームを建てるためには、土地と建物に関するルール(規制)を最低限知っておくことが、家づくりに重要な項目の一つです。

そこで今回は、マイホーム作りに影響する、土地と建物のルールについて解説します。

【目次】注文住宅を建てるには何坪の土地が必要?
  1. 土地には多数のルールがある
    1. 建ぺい率と容積率
    2. 高さ制限とは
    3. 斜線制限とは
  2. まとめ

土地には多数のルールがある

土地に建物を建てるとき、必ず何らかのルールが決められています。例えば土地の広さに対して、建てることができる建物の大きさや、隣地に建つ建物と一定の距離を保つことなどがその一例です。 

自分の土地だからといって、好き勝手にどんな建物でも建てることが許されている訳ではありません。

それでは最低限知っておきたい、土地に関する2つのルールを紹介しておきます。

  • 建ぺい率と容積率
  • 高さ制限と斜線制限

建ぺい率と容積率

まずは絶対に知っておいて欲しい規制が、「建ぺい率」と「容積率」の2つです。注文住宅を建てるのであれば、この2つの規制は絶対に理解しておきましょう。

もちろん、土地をすでに持っているという人にとっても重要なことなので覚えておきましょう。

それでは建ぺい率と容積率について、それぞれわかりやすく解説していきます。

建ぺい率とは

建ぺい率とは、土地の広さに対して、建てることができる建物の1階部分の広さのことだと思ってください。

この建ぺい率は、都市計画法という法律によって、地域ごとに数値が決められています。一般的な住宅地の多くは「建ぺい率60%」となっていますが、「建ぺい率30%」という地域もあります。

例えば、あなたが所有している土地、もしくはこれから購入を考えている土地の建ぺい率が60%だとするなら、50坪の土地に建てることができる家の1階部分の広さは、30坪(50坪×60%)以内に収めなければいけない決まりになっています。

ただし同じ50坪の土地でも、その土地がある地域の建ぺい率が40%であれば、1階部分が20坪(50坪×40%)までの家しか建てることができません。

本来建ぺい率は1階部分の建坪ではなく、真上から見た時の建物の広さで測定します。

よって、1階部分より2階部分が広い家を建てれば、当然2階部分の面積が建ぺい率の対象となります。そのかわり、屋根の軒やベランダ部分は一般的には建築面積とみなされず、建ぺい率とは関係ありません。

容積率とは

続いて容積率ですが、こちらも建ぺい率と同じように都市計画法という法律によって定められているルールです。

こちらは、土地の広さに対する建物の総面積の割合のことで、一般的な住宅地であれば「容積率200%」となっていますが、「容積率60%」という地域もあります。

50坪の土地を所有しているのであれば、容積率が200%の地域だと、家全体の総面積が100坪まで建てることができます。その反面、容積率が60%の地域だと建物全体の総面積は30坪以内におさめなければなりません。

それではここで1つ問題を出したいと思います。

建ぺい率と容積率を「第一種低層住居専用地域」の建ぺい率40%、容積率80%としたとき、1階部分24坪、2階部分16坪の注文住宅を計画しているのであれば、土地の広さは最低何坪必要でしょうか?

答えはこの記事の一番最後に記載しておきます。

建ぺい率と容積率の調べ方

建ぺい率と容積率の調べ方ですが、各地域別に用途地域が決められており、各自治体やインターネットで誰でも簡単に調べることができるようになっています。

インターネットで「地域名 用途地域」で検索すれば、すぐにヒットしますし、少し古いサイトですが全国の用途地域を紹介している以下のようなサイトもあります。

用途地域マップ
http://cityzone.mapexpert.net/

建ぺい率と容積率は以下を参照ください

用途地域 建ぺい率(%)※防災地域以外 容積率
第一種低層住宅専用地域 30・40・50・60 50・60・80・100・150・200
第二種低層住宅専用地域
第一種中高層住宅専用地域 100・150・200・300・400・500
第二種中高層住宅専用地域
第一種住宅地域
第二種住宅地域
準住居地域
近隣商業地域 60・80
商業地域 80 200・300・400・500・600・700・800・900・1000・1100・1200・1300
準工業地域 50・60・80 100・150・200・300・400・500
工業地域 50・60 100・150・200・300・400

高さ制限とは

次に解説するのが、「高さ制限」と「斜線制限」の2つです。

まず高さ制限というのは、低層住居専用地域において建物の高さを10m以内に制限するという意味なのですが、建物の高さによって日照権の侵害となる可能性がある「日影規制」、「北側斜線制限」、「隣地斜線制限」などまで含めて、高さ制限と呼んでいるハウスメーカーもいます。

まずは低層住居専用地域における10m制限について説明します。

注文住宅に直結してくる高さ制限は、主に「第一種低層住居専用地域」と、「第二種低層住居専用地域」に設けられている、10mや12mの高さ制限のことを言います。

この規制は、建物の高さを10mや12mという制限内におさめる決まりになっており、別名「絶対高さ制限」とも言われます。

この絶対高さ制限がある地域では、10m以上の建物を建てることができないため、中高層以上のマンションなども建設することができません。

一般的なマイホームであれば、2階建て住宅で7m~7.5m程度なのでまったく問題ありません。3階建て住宅であってもハウスメーカーでは10m制限にかからないよう、ほとんどが10m以内におさまるように設計されていますので、こちらもあまり気にする必要はありません。

このように、絶対高さ制限については、各ハウスメーカーもしっかりと対策をしているので、あまり神経質に考える必要はないと思います。

斜線制限とは

斜線制限についても、マンションなどの賃貸物件を建てる場合や、狭い土地にマイホームを建てる際に注意しておけば問題ありません。

一般的な土地に注文住宅を建てるのであれば、これらの高さに関する規制は、ハウスメーカーがしっかりと対策をしてくれていますので、大きな問題となることはありません。

この斜線制限と呼ばれるものには、「道路斜線制限」、「北側斜線制限」、「隣地斜線制限」などがあります。

この3つはいずれも、決められている起点から斜線を引き、その斜線以内に建物の高さをおさめることになっています。例として道路斜線制限を紹介しておきます。

道路斜線制限

道路斜線制限は、すべての土地に該当する項目であり、一番わかりやすいので、この制限を理解しておけば他の制限についてもおおよそ理解できると思います。

道路斜線制限とは、土地に面している道路の反対側から決められた数値で勾配を引き、その勾配角度内に建物をおさめなければならないという規制です。屋根の軒先が少しでも、この勾配角度をはみ出してしまうとアウトです。

住居系の用途地域であれば、勾配の角度は1.25/1、商業系の地域であれば1.50/1などと決まっていますが、斜線勾配の計算はハウスメーカーの設計士さんがやってくれますので、そこまで理解しておく必要はありません。

各斜線制限についても簡単に紹介します。

道路斜線制限

土地に接する道路の幅員によって建物の高さが規制されるものです。道路の幅員に1.25か1.50をかけた数値で得られる斜線の範囲内に建物が収まるように建てなければなりません。

北側斜線制限

土地の北側にある隣地境界線まで真北方向への水平距離を算出し、それに対して建物の高さを制限しなければなりません。これは北側の隣地に対して、日影被害を少なくするよう配慮した規制となります。

隣地斜線制限

隣地斜線制限は、隣地の境界線を起点として「高さ」と「斜線勾配」によって規制されますが、第一種と第二種の低層住居専用地域においては、この規制は対象となりません。

まとめ

規制や制限は、今回紹介した高さ制限や斜線制限以外にも多数あります。

家を建てる側としては、最初に紹介した「建ぺい率」と「容積率」を理解しておけば問題ないでしょう。

そのほかにも、このような規制や制限があることを頭の隅にでも知っておけば、あとはハウスメーカーの設計士さんがしっかりとやってくれますので、もし規制にひっかかりそうな部分があったら、指摘してもらえると思います。

しかし最近は、ハウスメーカーを決める前に自分たちで土地を決めてしまう人もいるため、そうなると規制や制限に引っかかり、自分が思い描いているようなマイホームを建てれなくなる可能性があります。

自分が希望する間取りや外観のマイホームを建てるには、最低どれくらいの広さの土地が必要で、どのような規制が対象になるのかを理解した上で土地を購入しなければなりません。

そうなってくると、やはり素人判断では難しい部分が多く、土地購入の前に信頼できるハウスメーカーを2社~3社ほど絞っておき、それらの営業マンと相談しながら土地を決定することをおすすめします。